うつ病
こころやからだに、こんな症状はありませんか?
こころの不調
- 何に対しても興味が持てない
- ゆううつだ
- やる気が出ない
- 落ち着かない、いらいらする
- もの悲しい
- 何をしても楽しくない
- 悪い方にばかり考えが及ぶ
からだの不調
- 眠れない
- 食欲/体重が落ちた
- 疲れやすい、からだがだるい
- 頭が痛い
- 下痢がちである
- 過度の発汗
- からだの痛みやしびれ
うつ病は誰でもかかる可能性のある病気です
もちろん、すべての症状がうつ病という訳ではありませんが、こころの不調だけでなく、からだの不調もうつ病のサインとなることを知っておきましょう。うつ病は特別な病気ではありません。友人や会社の同僚など、あなたのまわりにひそかにうつ病で苦しむ人がいてもおかしくありませんし、あなたご自身がうつ病にかかったとしても不思議ではありません。
「気の持ちよう」では解決しません
うつ病になると、こころにもからだにも不調が現れ、元気がなくなったり、自分が思うように動けなくなったりすることがあります。その原因は「気の持ちよう」によるものではありません。うつ状態やうつ病の方は脳内物質のバランスがくずれているといわれています。
うつ病である人の受診率がわずか29%という日本の現実
日本ではうつ病である人が医者に診てもらう受診率は「29%※」という結果が出ています。うつ病のサインが出ていても、ちょっとした不調と思ってしまっていたり、仕事や家事をこなせていると、うつ病を疑うことなく見逃してしまっていたりする可能性があります。「うつ病であることを周囲に知られたくない」と治療を受けない場合もあります。
※川上憲人(主任研究者)、厚生労働科学研究費補助金 こころの健康科学研究事業「こころの健康についての疫学調査に関する研究」平成18年度総括・分担研究報告書2007
「こころが弱い」「周囲に甘えている」は間違いです
日本にはうつ病が発症する原因を甘えや弱さと捉える人が、いまだ後を絶ちません。欧米に比べてうつ病に対する社会的な理解が不足しているとも言われています。このような誤解は患者さんを苦しめるだけでなく、患者さんから適切な治療を受ける機会をも奪ってしまう危険性があります。うつ病に対する知識を深め、正しく理解することが大切です。
マイナスの変化だけでなくプラスの変化もうつ病の原因に
うつ病は真面目で几帳面な人がかかりやすいと思われていますが、うつ病にはさまざまなタイプがあり、その人のものごとに対する考え方や周囲の環境、日常生活で感じたストレスなどが複雑にからみあって引き起こされます。中でも、親しい人との死別や離婚、病気にかかるなどといった悲しい、苦しい出来事がストレスとなり、うつ病に大きくかかわっていることがあります。それ以外にも昇進や結婚、子どもの独立など、どちらかといえば明るい人生の転機であっても、それが急な変化となって自分の生活に影響を及ぼす場合は大きなストレスとなってうつ病の原因となることがあります。
まずは専門医に相談を。
うつ病は「急性期」から「回復期」へと進み、それぞれの段階によって治療が異なります。うつ病は再発・慢性化しやすいため、症状がよくなっても医師の診断・指示に基づき、治療を進めていくことがとても大切です。
リワークデイケア(復職支援)
職場のストレスによりうつ病となり、休職される方も少なくありません。「復職に向けてのリハビリをしたい」「復職前に生活リズムを整えたい」「復職後に再発しないだろうか」というニーズや不安に対し、当院では復職支援プログラム(リワークデイケア)を実施しています。専門スタッフが病気の回復と復職のお手伝いをさせていただきます。
続きを読む
対象となる方
- うつ(うつ病、適応障害など)で治療中の方
現在「休職中」で復職を目指している方(退職者、就職活動中の方は対象外です。) - プログラム参加について、主治医・職場側の許可のある方
- その他、プログラム利用にあたって支障がない方
なぜリワークデイケアか?
うつ病の回復には波があると言われています。決して右肩上がりだけでない経過の中で、仲間と支え合い、色々な意見をもらい、休職を振り返ることは、自分自身の対処能力の向上につながります。リワークデイケアでは、月曜~金曜までの週5日、就業を意識した時間帯に通所いただき、様々なプログラムを通して復職後のストレスに耐えうる力を備える取り組みをしています。
目的&メリット
①復職に向けた基礎能力の改善を目指す
うつ病は、まずゆっくりと休養することが大切です。その後、回復期になり復職を目指す段階になると、休養中に低下してしまった集中力や持続力の回復・改善が次の課題となります。プログラムを通じて復職する上で必要となる基礎能力の回復を目指します。
②規則正しい生活リズムを確立する
うつの状態によっては家に閉じこもりがちになります。また、昼夜逆転の生活になってしまう方も多くいらっしゃいます。決まった時間に起床し、プログラムに参加することで毎日の生活リズムが整えられ、復職に向けての第1歩を踏み出すことができます。
③同じ悩みを持つ仲間同士で支えあい、励ましあうことができる
共通の悩みをもった仲間がいることはそれだけで心強く、一緒に復職に向けて取り組もうという意欲が湧くものです。また、仲間同士で復職に向けての様々な問題点を話し合うことで解決の糸口が見えてきます。
④再発予防に向けた取り組み
復職後の病気再発は皆さん不安になる部分です。当院のリワークデイケアでは、再発予防・継続勤務に耐えうる状態を作ることを目標に、ステップ制を導入しています。参加率や規定プログラムの修了を条件として、ステップ1~ステップ3まで段階を設定し、ご自身でどの段階にいるのかを把握しながら、その段階に合わせた復職準備に取り組んでいただきます。そうすることで、状態や症状の肯定的変化を着実なものとし、かつ、セルフケアのスキルを学ぶことで対処能力の向上を図り、継続勤務に耐えうる力を身につけていきます。
開催日
曜日 | 月曜~金曜 |
---|---|
時間 | 9:00~16:00(開場は8:50) |
※土日、祝日、年末年始、夏季休業期間はお休みです。
通所期間
当院リワークデイケアでは、ステップ制を導入しています。規定のステップを全てクリアし、主治医から復職許可が下り、職場との復帰合意がなされ、ある程度復職の目途がついた時点で通所終了となります。回復状態にもよりますが、最短で約2ヶ月~3ヶ月程度が目安となっています。
見学・参加開始について
リワークデイケアの見学・参加開始は随時可能です。ただし、参加の前に必ず見学をお願いしております。
内容
ワークデイケアは、精神科デイケアのプログラムとなります。1週間の予定は以下の通りです。
リワークデイケア 週間予定表
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
---|---|---|---|---|---|
8:50 | 開場 | ||||
9:00-9:10 | 朝ミーティング | ||||
9:15-9:55 | ウォーミングアップ | ||||
10:05-12:00 | グループミーティング (~11:05) |
CBT Basic | CBT アドバンス | 心理教育プログラム | 1週間振り返り 来週の目標立案 |
オフィスワーク※ | 課題別プログラム※ | 課題別プログラム | オフィスワーク | ||
12:00-12:30 | 面接/オフィスワーク | ||||
12:30-13:30 | 昼休み | ||||
13:30-14:00 | デイケア会計(13:30~) ・ 午後プログラム準備 ・ 自主活動 | ||||
14:00-15:40 | SST | 振り返りの時間 | 軽スポーツ | 課題別プログラム※ | オフィスワーク |
15:50-16:00 | 帰りミーティング |
※「課題別プログラム」は参加者によって取り組んでいただく課題が異なります。
※「オフィスワーク」は、各自で取り組んでいただく課題を持参してください。尚、持参いただくものについては、ご自身の職場に関連したものとさせていただきます。
認知行動療法(CBT)とは
近年注目されている心理療法で、うつ病などの治療アプローチとしての有効性が多くの研究で実証されています。日本でも、様々な施設のうつ病復職支援プログラムに取り入れられています。
認知行動療法では、気分の落ち込みや、抑うつの原因になっているのは、ストレスな出来事そのものではなく、その出来事をどのように受け止め、どのように考評価するか、という「考え方」にあると理解しています。例えば、すこしの失敗でも「失敗してしまった。」と過度に落ち込んでしまったりする「完璧主義思考」や、うまくいっている部分もあるのに失敗した部分にばかりに目が行って「自分は何もできない。」と抑うつ状態になってしまう「選択的注意思考」といった考え方等がうつ病の方の思考の特徴とされています。認知行動療法では、そういった特徴的な「考え方」にアプローチしていきます。ただし、認知の修正を目的とするというよりは、自分の思考パターンと上手く付き合っていく方法を考えるというイメージの方が近いかもしれません。
職場連携
当院リワークデイケアでは、円滑な復職を目指し、リワークデイケアに参加されている方の職場との連携を行っております。継続勤務・再休職予防のため、必要な情報を職場側と共有させていただくことで復職後の対応策を考えていきます。そのため当院のリワークデイケア参加にあたっては、職場側の承諾が必要となりますので、ご理解ください。
申し込みまでの流れ
当院を受診されている方
当院以外(他医院・クリニック等)を受診されている患者様
※利用にあたっては、主治医が記入した指示箋と診療情報提供書が必要となります。 指示箋は下記から取得できます。
→指示箋ダウンロード
費用
1回あたりの参加ご負担額は、医療保険の3割負担で¥2,470です。自立支援医療を申請されている方は、1割負担で¥820です(自立支援医療の詳細は下記をご覧ください)。
自立支援医療自己負担上限額管理表について
この制度を利用すると、医療費の10%を自己負担分として支払うことになります。制度を利用した場合、リワークデイケアの利用料は1回当たり820円となります。
- 世帯での住民税の課税状況により、医療機関に支払う自己負担額には、1ヶ月当たりの上限金額が設定され、月々の支払いはその金額以内とされています。
- 上限金額は、1ヶ月あたり2,500円、5,000円、10,000円、20,000円に設定されます。
- 指定医療機関の外来受診、薬局、リワークデイケアなど全ての料金を合計して上限に達した時点で、その月の自己負担がなくなります。
- 有効期間は1年です。
申請方法
申請書は、市町村(精神保健福祉担当課)に設置されています。申請の際、診断書の添付が必要となります。診断書は外来窓口にて受付しています。
受け取りまで約10日前後かかります。診断書の料金は5,000円(当院)となります。市町村によりばらつきはありますが、申請の約2ヶ月後に自立支援医療自己負担上限額管理表(黄緑色の手帳)が交付されます。
ただし、手帳が届くまでの間は3割負担となります。手帳が発行されましたら、領収書と共に病院に持参してください。自立支援医療が受理された日にさかのぼって2割分を返金いたします。薬局も同様です。
うつデイケア
続きを読む
対象となる方
- うつ病の診断を受けている方(適応障害、人格障害の方は除く)
- プログラム参加について主治医の許可がある方
- その他、プログラム利用にあたって支障がない方
目的&メリット
同じ悩みを持っている方同士で交流を持ち、励ましあうことができる
同じ悩みを抱えている仲間同士が交流することで、「悩みを持っているのは自分だけではない」と思えてくるものです。
生活リズムの調整と基礎能力の改善を目指す
家に閉じこもりがちな方や昼夜逆転してしまう生活を送っている方も、決まった時間に起きて通所することで生活リズムが整います。
安心してくつろげ、いつでも相談のできる場所のご提供
「家にいてもどうやって過ごしたら良いかわからない」という方も、同じ悩みを持っている仲間がいる場所なら、安心してくつろげます。また、職員が相談にのり、問題解決の糸口を一緒に探していきます。
開催日
曜日 | 水曜日、土曜日 |
---|---|
時間 | 9:30~12:30 |
祝祭日はお休みです。
※プログラムは精神科ショートケアのプログラムになります。
内容
時間 | 内容 |
---|---|
9:30~ | 1週間の振り返り |
10:30~ | グループミーティング |
11:40~ | 活動 |
12:30 | 終了 |
1週間の振り返り
5~6人のグループで1週間をどう過ごしたか、気分はどうだったかを振り返ります。その中で、気分の波に目を向け、うつ気分を客観的にとらえる練習を行います。また、月ごとにそれぞれに目標を立て、自身の課題を見つめなおすことも行います。
グループミーティング
参加者全員でミーティングを行います。テーマは毎回参加者で決め、それぞれが考え、自己表現する場としています。ミーティングをする中で、自分の考えを表現したり、他人の考えを聞き、視野を広げることを目指します。
プログラム
- リラクゼーションや手工芸
集中力、持続力の回復を目指します。 - 軽スポーツ
適度な有酸素運動を実施することで、不安の軽減や体力の回復を目指します。また、リラックスの大切さと効果を学びます。 - 料理
同じ目的をもって実施するグループ活動は、集団の中での自己主張の機会を増やします。また、達成感も得られやすくなります。おいしく料理を完成させることも大切ですが、その過程が最も大切です。
申し込みまでの流れ
当院を受診されている患者様
- 受診時等に主治医にうつ病デイケア参加の確認をしてください。
- うつ病デイケアスタッフが詳しい内容を説明いたします。
- プログラムを見学することもできます。
- 登録の手続きを行います。
当院以外(他医院・クリニック等)を受診されている患者様へ
- 受診先の主治医にうつ病デイケア参加の確認をしてください。
- 電話で当院にお問い合わせください。
- プログラムを見学することもできます。
- 利用にあたっては、主治医が記入した指示箋と診療情報提供書が必要となります。
※指示箋は下記より取得いただけます。
→指示箋ダウンロード - ご来院いただき、登録の手続きを行います。
ご利用にあたってご不明な点がございましたら、スタッフまでお気軽にご相談ください。
費用
時間 | 9:30~12:30 3時間 |
9:30~12:30 3時間 |
|
---|---|---|---|
利用料金 | 手帳あり | (1割負担)420円 ※自立支援医療あり |
(1割負担)420円 ※自立支援医療あり |
手帳なし | (3割負担)1,260円 ※自立支援医療なし |
(3割負担)1,260円 ※自立支援医療なし |
※期間により金額に多少の変動もありますのでご了承ください。
※手帳(自立支援医療自己負担上限管理表)をお持ちの方は、所得に応じた自己負担の上限があり、上限に達した方は翌月までの自己負担が0円になります。
自立支援医療自己負担上限額管理表について
この制度を利用すると、医療費の10%を自己負担分として支払うことになります。制度を利用した場合、リワークデイケアの利用料は1回当たり390円となります。
カウンセリング
当院では臨床心理士が予約制でカウンセリングを行っています。
続きを読む
ゆっくりと時間をとってお話を聞いてほしい、ご相談がしたいなどのご希望のある方はカウンセリングを受けていただくことも可能です。また、何を話してよいかわからないけど自分と向き合う時間をつくりたいという方や、話すのは苦手だという方には芸術療法も行っています。様々な悩みや困難、不安などを抱えた方々とカウンセラーがお会いし、一緒に考え、問題を整理するお手伝いをいたします。
カウンセリングは、ある程度継続して受けていただくことが大切です。時間をかけて、カウンセラーと一緒に考えていくことで、心が落ち着いたり、問題が整理されたり、困っていたことも、より良い方向に向かっていくことが期待できます。
例えばこんな方
- 人間関係、家族の事など抱えている問題を整理したい
- 不安定な気持ちや不安をやわらげたい
- ゆっくりと話をきいて欲しい
当院では、コラージュ療法や認知行動療法なども実施しております。
秘密厳守
カウンセリングにおいて、お話された内容につきましては、当院の個人情報保護方針に従い、また、臨床心理士会の倫理規定に基づき、固くプライバシーの保護をいたします。安心してご相談ください。
臨床心理士とは
臨床心理士とは臨床心理士認定協会によるカウンセラーの専門資格です。文部科学省も公認をしている資格で、カウンセラーの資格のなかでは最も信頼できる資格とされています。現在、臨床心理士は医療をはじめ、教育、福祉等、幅広い分野で活躍しています。
お申込方法
外来を受診し、医師にご相談ください。カウンセリングは非医療行為ですが、治療状況や病状との兼ね合いによりカウンセリングが適切でない場合もあるためです。医師とご相談の後、予約をしていただく形になります。完全予約制で、初回の予約は担当医師とご相談の後、2回目以降はカウンセリング終了時に行います。ご不明な点は受付や外来看護師にお尋ねください。
料金
25分 | 3,000円(税込み) |
---|---|
50分 | 5,000円(税込み) |